2015年12月09日

散歩

散歩





観察





夏目漱石


山路を登りながら、

かう考えた。

智に働けば角が立つ。

情に棹させば流される。

意地を通せば窮屈だ。

兎角に人の世は住みにくい。

住みにくさが高じると、

安い所へ引き越したくなる。

どこへ越しても住みにくいと悟った時、

詩が生まれて、畫(え)が出來る。

・・・・・・・・

  We look before and after
    And pine for what is not:
  Our sincerest laughter
    With some pain is fraught;
  Our sweetest songs are those that tell of saddest thought.




「 前をみては、後えを見ては、物欲しと、あこがるるかなわれ。

  腹からの、笑といえど、苦しみの、そこにあるべし。

  うつくしき、極みの歌に、悲しさの、極みの想、籠るとぞ知れ 」

 なるほどいくら詩人が幸福でも、

 あの雲雀のように思い切って、
 
 一心不乱に、前後を忘却して、

  わが喜びを歌う訳には行くまい。

 ・・・・・・



ピアニスト 
グレン・グールドが
「二十世紀の小説の最高傑作」と評価した

夏目漱石 草枕 より








超音波システム研究所
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Posted by 超音波システム研究所 at 11:11│Comments(0)ブログ
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